Michelin は Kafka と Confluent Cloud の併用で35%のコスト削減を実現し、現在はイベントドリブンな情報システムへと移行

1889年に設立された Michelin は、フランスの小さなゴム工場として始まり、ラジアルタイヤを発明しました。現在では、このフランス企業は世界最大級のタイヤメーカーに成長しました。同社は研究開発に年間約6億5,000万ユーロを費やしており、自動車、自転車、飛行機、農機具、大型トラック、オートバイ、さらには NASA のスペースシャトルなど、ほぼすべての種類の車両用のタイヤを製造しています。しかし、同社の強みはタイヤだけではありません。100年以上にわたる革新の豊かな歴史を背景に、同社はタイヤを製造・販売するメーカーからデータ主導型サービスの大企業へと進化しました。Michelin は現在、膨大な量のデータを活用して、タイヤの交換時期や燃料を最適化するための最適なルートに関する予測的洞察など、多様な顧客に持続可能なモビリティソリューションを提供しています。多角的な事業を展開し、輸送事業以外でも、世界中のレストランを紹介する権威ある Michelin Guide を発行しています。

リアルタイムデータパイプラインと統合に Apache Kafka を使用

Michelin は、製造、サービス、出版事業の全部門でデータに大きく依存しています。デジタル変革の取り組みが進む中で、同社はリアルタイムデータパイプライン、データ統合、ストリーム処理に使用されるオープンソースの分散データストリーミングテクノロジーである Apache Kafka® を選択しました。オープンソースの Kafka により、Michelin はリアルタイムデータを活用して魅力的なビジネスユースケースを実現するために必要な基盤を獲得しました。ただし、これには社内の Kafka 専門家によるフルタイムのメンテナンスとインフラストラクチャ管理の必要も伴いました。Michelin は Kafka Cluster の管理に3人のフルタイム従業員を雇用していましたが、すぐに拡張が困難であることがわかりました。特に在庫管理システムが問題でした。

課題

リアルタイムの在庫管理にはクラウドネイティブのアジリティが必要

同社は、特に原材料と半完成品の在庫に関する信頼性の低い、時代遅れのレポーティングに長年悩まされてきました。これは、グローバルなサプライチェーンと物流業務、ひいては顧客に影響を及ぼします。リアルタイムのデータにアクセスし、エコシステム全体の在庫を正確に把握できる方法が必要でした。概念実証を通じ、クラウドの力を利用したイベントドリブン型アーキテクチャとストリーミングソリューションを使用して、2つのサイト間のロジスティックフローを監視・分析することに成功しました。成功はしたものの、最近の世界的な危機状況（コロナ禍やウクライナ紛争など）により、この施策は一時停止されました。しかし、まもなく再開され、その恩恵を実証することになる見込みです。

Kafka を使用する際の課題

「Kafka の課題の 1 つは、運用の複雑さでした。特に、組織全体にフットプリントが拡大するにつれて、その複雑さが増しました。複雑で分散されたシステムなので、保守と運用を自社で続けるには、貴重な技術リソースと多大な専門知識を割り当てなければなりませんでした。また、社内でのメンテナンスにかかる費用やリスクも追加で発生することになりました。もう1つの問題は、これが当社の責務の1つであるクラウドへの移行に対応していないということでした。クラウドネイティブのデータシステムとしてではなく、プライベートインフラストラクチャ向けに構築されていたため、必要な方法で拡張できず、処理が必要な大量のデータを処理できませんでした」と、同社のサービスラインである Mastero Marketplace の IT アーキテクト兼 CTO の Olivier Jauze 氏は述べています。

Michelin は、企業として、信頼性の高いリアルタイムの在庫管理の可視性を確保し、シームレスなオンライン注文体験に対する顧客の期待の高まりに応えるために、Kafka デプロイのスケーラビリティとレジリエンスを向上させる必要があることを認識していました。

オープンソースの Kafka に代えて Confluent を使用することで運用コストを35%削減

オープンソースの Kafka の運用化という課題に対処し、クラウドへの移行を加速するために、Michelin は完全マネージド型のクラウドネイティブの Kafka サービスで Confluent Cloud を選択しました。データストリーミングを一元化し、その後 Microsoft Azure 環境で Confluent Cloud を活用することで、同社運用上の問題を大幅に削減し、キャッシュフローを解放できる見込みです。オンプレミスでの運用と比べて35％の節約になると試算しています。

Confluent Cloud により、Michelin は総所有コスト（TCO）を削減し、Confluent の99.99%の SLA で稼働時間を改善し、10 TB/日のスループットをサポートする柔軟なスケーラビリティにより市場投入までの時間を短縮し、Kafka 専任チームをインフラストラクチャの保守ではなく高価値なタスクに集中させることができました。

「Confluent が必要だと判断したのは、オープンソースの Kafka を自社管理することの限界、具体的には費用効率の高い方法でスケーリングできないこと、監視とセキュリティ上の制限、クラウドへの明確なパスの欠如に気付いたときです。Confluent は、ミッションクリティカルなユースケースをエンドツーエンドで実行するために必要なエンタープライズ級の機能を完備した完全なプラットフォームを提供してくれました。Kafka に関する深い専門知識を持つパートナーと協力する必要がありましたが、本番環境で Kafka を実行している顧客と何百万時間も携わってきた Confluent の経験が、意思決定を容易にしてくれました」と Jauze 氏は述べています。「Confluent のおかげで、過去の2年間、デプロイにかかる時間をおよそ8か月から9か月も短縮することができました。」

「Confluent は、私たちが出会った他のどのベンダーよりもはるかに優れたレベルのサポートとサービスを提供してくれました。リアルタイムデータと Kafka での成功を確実にする上で、膨大な経験を持ち、Apache Kafka へのコミットメントの80%以上を手がけている同社ほど信頼できる組織は他にありません。そのビジョンと専門知識のレベルは比類のないものでした。」

— Yves Caseau 氏、グループ最高デジタル・情報責任者、Michelin

技術的ソリューション

Michelin は、ビジネスをリアルタイムで把握し、データベースや古いレガシーアプリケーションに保存されているデータではなく、継続的なストリームとしてデータを収集、処理、保存するために、データセンターに Kafka をオンプレミスモデルで実装し始めました。

2019年末までに、同社は Kafka の管理に伴う運用上の課題の一部を軽減し、クラウド中心のデジタルトランス変革戦略のメリットを実現するために、クラウドへの移行を追求することを決定しました。Michelin はクラウドパートナーとして Microsoft Azure を選択し、2021 年に Confluent Cloud for Azure に移行しました。

「Azure は当社が最も使用したいクラウドパートナーであり、そうした選択に適したクラウド Kafka インフラストラクチャプロバイダーを選択したいと考えていました。Confluent の選択でマルチクラウドに関する独自の決定を順守できるという点は、私たちにとって非常に重要でした」と、Michelin の IT 統合アーキテクトである Valérie Servaire 氏は述べています。

Confluent のサポートを受けて、Michelin チームは9か月かけて移行のニーズを評価し、探索的なユースケースプロジェクトを立ち上げました。最重要プロジェクトであるオンライン注文管理は2022年春に稼働を開始しました。

オンライン注文管理は、Michelin のサプライチェーンの中核をなすオーケストレーションとコレオグラフィのレイヤーです。同社は、既存のオンプレミスオーケストレーターである Oracle BPM をクラウドバージョンに移行する必要がありましたが、いくつかのプロジェクトが成功し、決定的な概念実証を行った後、Michelin は Kafka と Kafka Streams に基づいて独自のオーケストレーターを完全に書き直すことを決定しました。

「Confluent の活用で、バッチ型でモノリシックなこの情報システムを、データが絶えず移動するシステムへと変換しています。この取り組みは、当社のモノリスシステムを自律型システムに分離し、これらのシステムを相互に独立・進化させる上で役立っています。その結果、ビジネスのアジリティが高まり、リアルタイムかつデータ主導の意思決定と運用が推進できています。まさに、躍動するデータ（Data in Motion）がビジネスのアジリティを高めた一例と言えます」と Jauze 氏は説明します。

現在、Michelin のいくつかの部門では、Confluent Cloud を使用して、サプライチェーン、カスタマーサービス、製造、研究開発など、ビジネス全体のデータサイロを解消しています。

ビジネス面での成果

CIO の視点から

「クラウドへの移行は、最終的には当社の時間とコストの節約を意味します。コスト最適化の観点からも、使いやすさ、柔軟なスケーリング、回復力、強化されたセキュリティなどのクラウドの利点を活用するのにも最適です。これにより、インフラストラクチャの日常的な管理について心配する代わりに、エンドユーザー向けの製品とソリューションの革新と構築にもっと集中できるようになります」と Caseau 氏は述べています。

データはますます企業戦略の中心的存在となっており、Michelin では特にその傾向が顕著です。「Kafka により、組織全体でリアルタイムのデータを活用できるようになりました。しかし、Confluent は Kafka の枠をはるかに超えて、真にクラウドネイティブでクラウド向けに再考された躍動するデータ（Data in Motion）のためのプラットフォームを提供すると同時に、Kafka の管理の負荷を軽減し、運用上の負担を軽減します。また、ミッションクリティカルなユースケースに必要なすべてのエンタープライズグレードの機能を備えており、データが存在する場所ならどこでも利用できるという点でも完全です」と Caseau 氏は説明します。

「Confluent は、当社がデータファーストでデジタルなビジネスへと移行する過程を加速させる上で重要な役割を果たしています。今日の顧客は豊かでパーソナライズされた体験を求めており、競合他社の一歩先を行くためには事業運営を最適化する必要があります。当社では、データを解放してリアルタイムでストリーミングするためのデータインフラストラクチャの重要な部分として Confluent Cloud を使用しています。これにより、Customer 360、eコマース、マイクロサービスなど、組織全体の追加のユースケースに、躍動するデータを迅速かつコスト効率よく拡張できるようになります」と Caseau 氏は述べています。「CIO としての私の仕事は、Michelin が最高レベルのパフォーマンスを実現し、日々お客様に満足していただけるようにすることです。Confluent と一緒にイベントドリブン型アーキテクチャに移行することで、より迅速かつ効率的にこの目標を達成できます。」

高い信頼性

「信頼性は、Confluent への移行を決定する上で不可欠な要素でした。ミッションクリティカルなアプリケーションにおける Kafka の停止とダウンタイムは、当社のビジネスにとって大きなリスク要因となります。スケールアップとスケールダウンに難なく対応でき、需要の急増を管理でき、処理が必要な大量のデータを処理できる耐障害性アーキテクチャの構築も、Confluent を選択した大きな要因でした。Confluent Cloud のクラウドネイティブな弾力性と99.99%の SLA により、チームは Kafka インフラストラクチャの管理と保守ではなく、イノベーションとアプリケーションの構築に安心して集中できます」と Servaire 氏は述べています。

唯一かつ真のクラウドネイティブな Kafka エクスペリエンス

「Confluent は、クラウド向けに再設計された Kafka という、唯一の真のクラウドネイティブ Kafka エクスペリエンスを提供してくれました。また、Confluent は Kafka を生んだ開発者チームが設立されているため、期待に違わず、比類のない Kafka の専門知識も提供してくれました」と Jauze 氏はコメントしています。

比類のないサポート

「Confluent の最大の資産の1つは、Kafka とストリーミングテクノロジーに関する知識です。私の15年の経験から見て、これは非常にユニークなものです。私たちを非常に巧みに導き、専門的なサービスを通じて、私たちに教えてくれ、耳を傾けてくれます」と Jauze 氏は語ります。

「初めて Confluent に接触した際は、Apache Kafka プロジェクトを開発した人々と連絡を取りました。それ以来、ロンドンであろうとフランスのエコシステムであろうと、当社に対応してくれた人たちは常に信じられないほど経験豊富で、技術的に非常に高度で、多くの教育ノウハウを持っていました。これは、当社がこれまで利用した他の製品と比較して、Confluent が持つ大きな差別化要因です。Confluent はテクノロジーを理解しており、それを展開する方法と、それを説明する方法を知っています。Confluent チームのような人たちに支えられていれば、導入はスムーズかつ自然に進みます」と Jauze 氏は締めくくりました。

今後の展開

Michelin は、デジタル変革の過程を追求する中で、企業全体に Confluent Cloud を継続的に導入しています。Confluent プロジェクトで高い ROI を実現し続けている同社は、多くの新しいユースケースで躍動するデータ（Data in Motion）の活用が広がると予測しています。

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